こんにちは。TAILORS WORLD編集部の萱場です。

さて今回は、冠婚葬祭で着用する様々なフォーマルウェアにおける、基本的な決まり事をお伝えさせていただき、ドレスコード指定があった際等に少しでもお役に立てば幸いです。

*あくまで「基本的」な部分ですので、知ってるよ、という方は飛ばし読みしていただければと思います。

モーニングとイブニングの時間の境目は?

まずは、着用される時間帯により、服装が変わってきます。

よくモーニング、イブニングと言われますが、この時間帯の事を指しています。
昼の時間帯は、午前中から午後4時頃までの式典や行事に、夜の時間帯は、それ以降となります。

それぞれの時間帯に、正礼装、準礼装、略礼装が有り、名前の通り、正礼装がまさに正式な服装になっております。

また、ドレスコードがあり、招待状に「ホワイトタイ」と記載があれば、燕尾服(テールコート)、「ブラックタイ」とあれば、タキシードを着用するよう推奨(指示)していますので、招待状をしっかりと確認して、見逃さないようにしましょう。

次にそれぞれのフォーマルウェアーと、そのスタイル、そして着用シーンを画像つきでご紹介します。

昼の正礼装: モーニングコート

スタイル

・上衣: 黒の1つ釦のジャケットでピークトラペルが基本です。前身ごろの腰あたりから後ろ裾にかけて曲線的になっております。(カッタウェイ)
・ベスト: グレーやアイボリーが基本です。黒のベストを着用の際は*必ず白襟を付ける*のを忘れないようにしましょう。
・スラックス: グレーの縞柄のコールズボンで合わせ、裾口はシングルのモーニンカット(前が上がって、後が下がっている、前後で差がある仕様です)。サスペンダーを着けるので、ベルトループは付けず、股上も深めで穿くのがおすすめです。

コーディネート

・シャツ: ウイングカラーシャツかレギュラーカラーシャツ。色は白無地で前立にヒダ等の飾の無いシンプルなタイプ。袖口はダブル、シングルどちらでも可です。
・タイ: グレーや黒の縞柄のネクタイ。シルバー無地のネクタイもお勧めです。アスコットタイの場合は*必ずウイングカラーを着用*するようにしましょう。
・サスペンダー: 白黒の縞柄やグレーの無地、黒無地等。ベルトは不可です、サスペンダーを必ず着けましょう。
・カフス: 白蝶貝や真珠等の白い石。
・チーフ: 白い麻のチーフ。
・手袋: グレーの鹿革が正式ですが、コスト面を考慮して布製の白で代用しても可です。
・靴: 黒の内羽根式ストレートチップ。

シーン

  • 結婚式、披露宴。
  • 卒業式、入学式。
  • 叙勲、園遊会。

メモ

正装ですが、よほどの事がない限り、着用することはあまり無いと思われます。国内では、よく見るのは宮中行事や内閣の組閣式などの行政の式典、あとは結婚式の際の新郎新婦の父親等ではないでしょうか。

昼の準礼装: ディレクターズスーツ

スタイル

・上衣: 黒のシングル1つ釦ピークドラペルで、ノーベントが基本となります。2つ釦、3つ釦、ダブルも可です。
・ベスト: シルバーグレー系が基本。オフホワイト、シャンパンゴールドでも良しです。
・スラックス: グレーの縞柄のコールズボン。裾口はシングルで。こちらもモーニングコート同様、サスペンダーを着けるので、そちらに合った仕様、寸法で。

コーディネート

モーニングコートに準じます。

シーン

  • 結婚式、披露宴。
  • 卒業式、入学式。

昼の略礼服: ダークスーツ

スタイル

・上衣: 色はチャコールグレーかミッドナイトブルーの無地か無地に近い柄。
・スラックス: 上衣と共生地。

コーディネート

・シャツ: 白のレギュラーカラーが基本だが、ウイングカラーも可。
・タイ: グレー、ネイビー系のネクタイが基本。蝶ネクタイ、アスコットタイもOK。
・チーフ: シルクの白やシルバーが基本。タイと合わせて他の色も可。
・靴: 黒のシンプルなデザイン。

シーン

結婚式、披露宴。
卒業式、入学式。

夜の正礼装: 燕尾服(テールコート)

スタイル

・上衣: 衿はピークドラペルで拝絹地(シルク生地)付き、前はウエスト部分を水平に裁ち、後部は細腹と呼ばれる腰縫い目が入り、そこから短冊状に、テールがつけられます。よって別名テールコートと呼ばれます。釦はかけずに着用です。
・ベスト: 衿付きで白のコットンピケ素材。シングルかダブル。
・スラックス: 深めの股上でサイド(脇)に2本の側章入り。側章の素材は拝絹地か黒のモール。こちらもサスペンダー必須ですので、ベルトループ無し、裾口は*必ずシングルでモーニングカット*。

コーディネート

・シャツ: ウイングカラーのイカ胸シャツ(ブザムシャツとも言われます)で、スタッドボタンを使用するタイプ。袖口はダブルまたはシングルカフス。
・タイ: ベストと共生地でコットンピケの蝶ネクタイ。
・カフス&スタッド: 白蝶貝のカフスとスタッドボタンをセットで付ける。
・チーフ: 白のシルクか麻。
・サスペンダー: 白のフェルトが基本。ベルトは不可。
・手袋: 白の鹿革が正式ですが、コスト面を考慮して布製でも可。
・靴: 黒のエナメル素材のオペラパンプスかプレ-ントウ。

シーン

宮中晩餐会、ノーベル賞、舞踏会。
大綬章親授式(昼)
結婚式、披露宴(ご本人)

夜の正礼装: タキシード

スタイル

・上衣: 拝絹地付きのピークドラペルかショールカラーの1つ釦が基本。ダブルも可。脇ポケットはフラップ無しの拝絹両玉縁。ノーベントが正式。
・スラックス: サイドに1本側章入り。側章の素材は拝絹地か黒のモール。裾口は必ずシングルで、こちらもサスペンダーを付けるので、ループ無しが基本です。

コーディネート

・シャツ: 白のウイングカラーかレギュラーカラーで前身頃がプリーツ付き。前立部分にスタッドボタンを付けるのが正式。スタッドを使用しないタイプの場合は*必ず比翼仕立てにする*こと。袖口はダブルかシングル、どちらでも可です。
・タイ&カマーバンド: 黒の蝶ネクタイに共生地のカマーバンドが基本。素材は拝絹地で出来た上質な物がベスト。
※ブラックタイの指定がなければ色柄物でもOK。
・カフス&スタッド: オニキスや黒蝶貝等の黒が基本。ミッドナイトブルーのタキシードの場合はネイビー系の色でもOK。
・サスペンダー: 黒系のタイプ。ベルトは不可。
・靴: 黒のエナメル素材のオペラパンプスかプレ-ントウ。

シーン

結婚式、披露宴
晩餐会、クルーズ
記念式典、表彰パーティー

夜の略礼装: ダークスーツ

スタイル

・上衣: 色はチャコールグレーかミッドナイトブルーの無地か無地に近い柄。
・スラックス: 上衣と共生地。

コーディネート

・シャツ: 白のレギュラーカラーが基本だが、ウイングカラーもお勧め。
・タイ: 蝶ネクタイ、アスコットタイ、ユーロタイ等で昼の装いより少し華やかさを意識した色や素材を選ぶと良いです。

シーン

結婚式の2次会
パーティー
ディナーショー

まとめ

いかがでしたでしょうか。

まずは基本をしっかり押さえることが重要ですね。基本的にはダークスーツで問題ないと思いますが、格式や礼服の種類を知ることで、様々な社交の場に対応できるかと思います。