今回は、シャツ用の芯地でのお問い合わせを受けることがよくありますので、シャツ芯にはどういったものがあるのか紹介させて頂こうと思います。
TAILORS WORLD編集部の山本佑です。
ジャケットなどに使われる芯地はどちらかというと柔らかいものが多いですが、シャツに関しましては襟を綺麗に形作る適度な硬さが求められます。
シャツといっても様々で、
カジュアルシャツなので柔らかく仕上げたい・・・
ドレスシャツですとカッチリ仕上げたい・・・
それぞれ求める芯地が変わってきます。
シャツ用に使う芯地にどの様な種類があるのかまとめました。
目次
芯地基布
短繊維織物
綿100%素材やポリエステルと綿の混紡素材等の厚さ硬さのある芯地。
綿100%だと製品染めのシャツにも使用できる(芯地も染まる)。
長繊維(加工糸)織物
ポリエステル100%のフィラメント状の糸で作られた生地で短繊維より柔らかく仕上がる芯地、シャツ用によく使われるのは低伸度(長繊維は伸びやすいのでその伸びやすさをを抑えたもの)が多いです。
台襟は硬めの短繊維、羽襟はそれよりも柔らかめの短繊維の組み合わせで・・・
ニットシャツですと生地の伸びを活かして伸度のある長繊維の芯地で、あるいは襟を立たせたいので敢えて短繊維芯地で動きを止めての硬めで・・・
製品染めをするから染まりやすい綿100%の生地で・・・
と生地の風合いや素材の組み合わせで様々な選択肢がございます。
接着樹脂
完全接着タイプ(高い接着力)
ポリアミド樹脂
2層ドット・・・比較的高い接着力が出る。薄手素材での染み出しを起こしやすい。剥離後に再接着が効かない。
シングルドット・・・一般的な樹脂タイプ。染み出しは2層ドットよりも抑えられる。剥離後も接着力低下はあるが再接着可能。
高密度ポリエチレン樹脂
トップヒューズ・・・専用接着機が必要だが非常に高い接着力が出る。
仮接着タイプ(縫製時に接着されている程度の接着力)
水溶性樹脂
洗濯時あるいは製品染めなのどの際に接着樹脂が水に溶けてフラシ芯として機能する。
アルカリ水溶性樹脂
アルカリ性の水で接着樹脂が溶けてフラシ芯として機能する。(水溶性だと蒸気プレス当てただけで剥離してしまうので使われることがあります。)
非水溶性樹脂(EVA樹脂等)
使用オススメしません!!! 洗濯時に樹脂が落ちて羽襟の先に溜まり更にアイロンでプレスするとその樹脂が溶けて生地に染み込みシミになることががります。
糊なし(フラシ芯)
接着樹脂の付いていない芯地。縫製時に表地と一緒に縫い合わせる為技術力が必要。製品上代は高め。
使用箇所
襟(羽襟・台襟)
シャツで使われる芯地で最も重要な部分になるかと思います。
羽襟は襟型や大きさ、求める風合いに合わせて選ぶことが重要になります。ボタンダウンならややソフトで襟のカールがキレイに出るような芯地、フォーマル度の高いシャツならパリッと張りの出る芯地、といった具合になります。
台襟向けに選ぶときははトレボトーニや台襟を高めにデザインされたものですと羽襟と同じかより硬めの芯で襟元がしっかりする芯地、カジュアルに寄ったデザインですと羽襟も柔らかくなると思いますので台襟も首周りも柔らかになるような芯地、といった具合になります。
前立
前立は芯地を入れないデザインもありますがあまり硬めの芯地ではなく、柔らかい芯地をご使用されると良いと思います。ニットシャツやストレッチ性の高い生地ですと前立部分の伸びを抑えないとボタンが外れてしまうので芯地を入れる事をお勧めします。
カフス
カフスはフォーマル度が高いものは硬めでカジュアル寄りになるほどソフトな傾向がありますが、デザインによって色々と選定の幅もあります。ダブルカフスなどですとやや柔らかめの芯地にして折返したところが綺麗に膨らむ感じに仕上がる芯地を選ぶと良いかと思います。
シャツのデザインや求める風合いや製品洗いの加工、耐洗濯性など様々な求める要素を組み合わせて芯地を選んでただけると幸いです。
シャツ芯についてのご注文やお問い合わせ、さらに附属や縫製サービスのお問い合わせはこちらまでお願い致します。
全国展開のオーダースーツ店にて2年間修行後、服飾資材の道に。
特にスーツ(重衣料)の事ならお任せください。