こんにちは。TAILORS WORLD編集部の萱場です。
今回は水牛ボタンの加工についてご紹介いたします。
水牛ボタンとは
水牛の角から作られたボタンです。
日本で生産される水牛ボタンの原産地は、主にインドを中心とした東南アジア産が多く使われているそうです。他にもアフリカや南米産などがあります。
水牛の角はボタン以外にも、服飾資材ではトグルボタンやバックルなどにも多く使われており、他には印鑑やクシ(コーム)など様々な商品に使われているかと思います。
水牛の角は一生伸び続けるようですが、根元の方の部分は空洞になっており、一般的なボタンの原料には使えてもトグルや印鑑の材料にはならないようです。
それでは、加工に関してみてみましょう。
※写真では伝えきれない、風合いや色味があります。写真は参考画像として捉えていただければと思います※
極ケシ・ケシ・半ツヤ・ツヤ加工
1番スタンダードな加工と言えるかもしれません。
この加工は、ガシャと呼ばれる多角形の木でできたドラムに、ボタンと研磨剤を入れて行われています。
主にツヤの場合は、竹のチップと一緒に回します。
ケシの場合は、ガラスの粉などの、小さな粒子状の研磨剤を入れて、表面に少し傷をつけるイメージで行われています。
表面がざらついている方が、光沢が少ないということですね、
消し加工は、ソリッドな印象を与え、ツヤ加工は、その名の通り艶やかさ華やかさを演出してくれます。
焼き加工
直火を当てて、焦げ目を付けております。天然素材自体の風合いに焼き加工が入るとまた違った味が出ます。色味の変化も楽しめる上級加工になります。
余談ですが、ニック・フーケという帽子(ハット)を作るアーティストが、帽子の製作過程で、料理のフランベの様に帽子に火を入れているのをみて、衝撃を受けた事があります。
生地でも毛焼き加工という加工がある様に、磨く、焼く、溶かす、塗る、みたいな事はどんな素材でも表面を加工する上での基本なのかもしれません。
二度挽き加工
中面のみ一皮剥く程度に薄く削り上げる加工になります。ひと目見ただけでは違いが分かりづらいかも知れませんが、分かる人には分かる、ワンランク上質な加工になります。
内側だけ、ケシ加工のようなマットな表情になります。
ブリーチ加工
水牛ボタンも、脱色できるんですね。写真はc/#BKのブリーチ加工になります。水牛独特の柄が現れ、水牛ボタンの特徴的な柄が際立ちます。
写真を見ると、濃いめのブラウン使えば良いじゃないと思われるかもしれませんが、それは野暮というもの。
黒を脱色したものと、ブラウンでは、やはり雰囲気が違います。黒のブリーチ加工は、どことなく病的な感じがします。このへんは「神は細部に宿る」という精神で、デザインの意図に沿ったボタンをお選びいただければと思います。
穴(ホール)サイズ加工
こんな事もできます。穴のサイズを変えるだけでイメージを変えてくれます。
レーザー刻印加工
ブランド名などを刻印できます。
左の写真の「焦げ残し」は使っている間に焦げカスの部分が取れてきて最終的には焦げ落としの状態になります。
焦げカスを落とさないようにするには、その状態の上にコーティング(クリア加工)が必要になります。
ロットが発生致します。(10個だけなどは基本出来かねます)
注2※ 天然素材ですのでボタン1つ1つ風合いは異なってきます。
注3※ 焼き・二度挽き・ブリーチ加工に関しましても様々な風合いに仕上がりますのでご注意下さい。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
こちらの加工は、いざやろうとするとロットが発生したり、 天然素材ですのでボタン1つ1つ風合いは異なってきたり、ひとえに焼き加工と行っても、仕上がりが結構異なったりと画一的な品質を担保するのが難しいものですが、そもそも、水牛ボタン自体に、同じ柄は無いので、細かいことは気にしなくても良いかなと思います。
セレクトショップの販売から、オーダースーツの接客を経て、現職に至ります。趣味のサウナめぐりを再開できる世の中に戻ってくれることも願っています。